「年中～～なのだ！」と偉そうに始めてしまいましたが・・・
この魚がこちらの市場に入荷するのは、ほぼ土佐清水からの直送便のみ。
しかも３か月に１回入るか入らないかというレベル。
イサキ科の魚の中でも最も水揚げ量が少なく、超レアな希少魚なんです。
そして珍しいだけではなく、イサキ科の魚の中でも頭一つ飛び抜けた美味しさ。
なのに！
こちらの市場での評価はあまり高くない・・・おかげで安く買えてうれしい
あまりに入荷が少なすぎて、ほとんどのバイヤーさんが知らないというのもありますが、
こちらのヒゲソリダイと混同されている可能性が非常に高い。
「ヒゲダイ」と「ヒゲソリダイ」
ヒゲ・ヒゲ・ヒゲ・ヒゲ～おんなじ「ヒゲ仲間」やろ～！
こちら「ヒゲダイ」のヒゲ。
なかなか立派に生えていらっしゃる。
それに対して「ヒゲソリダイ」
でも朝にヒゲ剃って、夕方またちょっと生えてきました感。
ヒゲが違うだけじゃなく、姿形はもちろん生態も味わいも全く違う魚！名付けのセンスが面白すぎて「ヒゲ」に意識が集中しているんでしょうね～ヒゲダイを初めて見た方の多くが『ホンマにヒゲ生えてるやん！』と歓喜。
ヒゲソリダイは春～初夏に入荷が多く、とてつもなくよく肥えたものも見かけます。
しかし市場での評価はやや低く、安い魚の部類に入ります。
なので「ヒゲダイ」も「安い魚の部類」として考えられている可能性が高い。
ちょっとだけヒゲソリダイについて
ちなみに・・・ヒゲソリダイも「美味しい」という評価の多い魚。
市場の魚屋さんに聞いても、ネットで色々調べても「美味しいよ！」という応え。
しかしヒゲソリダイは私が唯一食べられない魚。口に入れた瞬間は「いけるかな？！」と思うのですが、すぐにアルミホイルを噛んだような酸味というか刺激が口中に広がります。
同じような意見な方もいれば、全くそんなことない方も。
個人の体質によるものなのか？？
そしてほとんどが愛媛産なので、他の産地では大丈夫なのかも。
ヒゲダイの旬はいつ？産卵後以外は美味しいと聞きますが
「産卵期である夏以外は美味しい。」
図鑑やネットで調べると、こう記載されてることが多い。
８月のある日、土佐清水より出荷情報。
明日ヒゲダイ行きま～す♪
なにぃ！？こんな真夏にヒゲダイとは。どうせ産卵期で腹ポテか、産卵後でガリガリやろ！
でもえらい安いなぁ・・・最悪自分で食べるしまぁいいか
さて翌朝届いたのは
むちゃくちゃ肥えてるやん♥
しかも活け〆神経抜きのタグ付きやん♥
多少腹の子はありますが、まだ産卵寸前というわけでもない様子。
透明感のある美しい身に白く脂が入り込んでいます！
土佐清水のヒゲダイは夏でもいけるんですね。
ひとつ勉強になったところで次は
同じく土佐清水、１０月頭に入荷。
前回より魚体が小さく明らかに痩せています。
産卵からちょっとだけ回復したかなぁ～という感じ。
特に尻尾の身が薄くおろすのにひと苦労。しかし胃袋には海老がたっぷり。これからどんどん肥えていくつもりだったんでしょうね～
やっぱり産卵後なので味には期待できません。
上品さだけで旨味が無く、脂のりも全くない。
なんてことは全くない。
食べてビックリめっちゃ旨い！
確かに脂はありません。
が、旨味がしっかりあって、身からくる甘味もスゴイ！
この美味しさは魚類トップクラスでしょ！
ということで、産卵期と産卵後という二大期間でさえ、「美味しくないヒゲダイ」に出会うことはできませんでした。
もちろんこれ以外の時期、３～４月にも良く入荷がありますがもちろん美味しい。
なので「夏はダメ」と決めつける必要もないですね。よほど産卵前後の直近でない限りはいつでも味はいいのだと思います。ある程度の良個体であれば迷わず買いな魚！
またイサキ同様、皮目が非常に美味しい魚なので、小さいものなら焼き霜造りにしても。
加熱しても硬く締まらないので煮付けや焼き物にもむきます。
特に煮付けや骨蒸しがおすすめ！
加熱することでただでさえ美味しい身の旨味が倍増！
噛むとフワッとほぐれるような食感も魅力的。
頭や骨周り、皮目の濃厚な旨味と独特の風味が心地よい。
ヒゲダイの実際の入荷状況
2023-4 きました土佐清水直送便！こんな値段でいいんですか？！
2ｋｇアップでめっちゃ肥えた最高の魚体！
もう考えるまでもなく絶対買いな一本でしょ！
しっとり最高の身質に脂のりも非常に良い。
産卵期でさえ美味しい魚なので、この時期は安心して買えます。
滅多に入ってこないので忘れてましたが…ヒゲダイってこんなに美味しかったんですね！最高です。k1500円ってホンマですか？！
ヒゲダイの料理・レシピ
ヒゲダイの骨蒸し
だしにたっぷりの酒と塩で薄味に調えて、昆布を差して蒸し上げました。
ポン酢で召しあがって頂きます。
加熱しても身がしっとりとしてフワフワ。旨味もめっちゃしっかりしています。もう少し塩を利かせて酢橘を添えて「塩煮」として提供しても良かったと思います。