「サワラ」という名の由来は、腹の幅が狭いから狭(さ)腹(はら)=さわらという説が有力。
それともう一つ関西では、春に産卵のため瀬戸内海に入ってくるものが大量に水揚げされます。
関西では子や白子を好んで料理するので、この時期のサワラが珍重されてます。
そのことから春の魚=魚へんに春=鰆。
しかしこの頃のサワラは子に栄養を取られ、身の方はあまり美味しくありません。

サワラが一番美味しくなるのは秋~冬の寒い時期。全国各地でよく肥えて脂ののった物が上がります。最近では活け〆・血抜きされたものが多く、最高の身質で刺身を楽しめるようになりました!
サワラのシーズンはここから始まる!明石の釣りさわら
それは8月も終盤に差し掛かる、まだまだ暑さ厳しい晩夏の頃。
ぼちぼち秋に向け、各地からまずまずのサワラがちらほら。
痩せてはいないが肥えてもいない、脂なんてまだまだ乗っていない・・・
そんな中
颯爽と入荷してくるのがこの明石の釣りさわら。
魚体は大きくないものの、肥え方も色艶も他とは次元が違う!

一昔前は釣りではなく、突き漁のサワラが入ってきていました。美味しいけど体に銛で付いた穴があるのが弱点。
見た目に分かりにくいですが、他の産地の物よりはかなり脂がのっています。
そして更に身の味が素晴らしい!
しっとりとした身質にまったりとした旨味・甘味。
口の中でとろけるような美味しさ。
8月下旬の明石のサワラ。
皮目を炙って刺身に引いていますが、身質の良さがはっきり分かります!
とろりととろけるような食感に濃厚な旨味。
ここから約2か月はさわらと言えば「明石の釣り物」一本でいけるほど!
その間さらに脂のりも良くなってきます!
そして寒サワラの時代へ!代表は鳥取淀江の極上さわら!
涼しくなるにつれ、明石以外にもよく肥えた、しかも大型のサワラが出始めます。
サワラが本当に美味しくなるのは4kgを超えたあたりなので、仕入れも徐々に切り替えていきます。
長崎壱岐・福岡・京都・福井などなど、各地から素晴らしいサワラが入荷してくる中でも圧倒的な存在感を示すのが
鳥取淀江のサワラ!
船上にて活け〆神経抜きの上、血抜き・腹抜き・えら抜きの最高の処理を施された極上の一本!
さらに「脂質計」を使って脂を量り、一定の基準を満たしたものしか出荷しないという徹底ぶり。

ただ脂質計を使っているとはいえ、全部が全部すごい脂があるわけではありません。最終的には自分の目で最高の一本を目利きして仕入れます。このサワラが入荷してからはほぼこれ一本でいってます!
サワラと言えば、色は白濁した身を思い浮かべますが、このサワラはものすごい透明感!
処理の良さがこういうところに現れます。
焼き霜造りにするため皮目を炙ったもの。
全体に脂がびっしりとのっているのが明らか!
船上ですでに勝負あり。
他の産地でここまでの物はなかなかありません。
もちろんおすすめは「焼き霜造り」
しっかりとしているのに、なめらかでとろけるような身質。
究極にまで引き出された身の旨味に、トロのような脂で濃厚なまったり感。
さらに炙った皮の風味がいい仕事をしています。

年間通じても最もおすすめできる魚のひとつ!
時と場合によっては他の産地のサワラの倍以上も値が付くこともあります。
それでもこのサワラは買うだけの価値があります!
年明けごろから徐々に脂が落ち、身質も低下。
それに合わせ、さわらのシーズンも終了ということになります。
サワラの料理・レシピ
焼き霜造り・塩たたき
鮮度の良いさわらが入荷したらこれが鉄板料理!
皮目に薄く塩を当ててから強火で炙って切りつけます。
醤油などで食べさせるなら「焼き霜造り」
酢橘などのかんきつ類と藻塩などの、ええ塩で食べてもらうなら「塩たたき」

ちなみに酢橘などの柑橘類を絞る時は、切り口を上にゆっくり絞るのが◎
絞った果汁が、果皮から染み出した香り成分を伝って落ちるので香りがさらによくなります。
サワラの蓮根巻揚げ
サワラを薄くかつらむきした蓮根と大葉で巻いて天ぷらにしています。蓮根のパリッとした食感の中から、ふんわり食感のサワラ。蓮根の甘みがさわらの旨味をさらに引き立てています!
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