正直少し前まで、スズキは嫌いな魚で全く買う気もなかったです。
かつては身近に獲れるうえ、美味しい魚として料亭や割烹などでも夏を彩る魚として珍重されていた時代も。
それが河川や内湾の汚染により「臭い魚」の代名詞となるほどに落ちぶれる。
特にスズキは稚魚や若魚が汽水域を好むとされています。汽水域=淡水と海水が交じり合う。塩分濃度の関係で底の方が塩分が高く、スズキが好むのは底の方。汚染物質も底にたまりやすいので、特にスズキは臭い個体が多かったと推測される。
スズキ特有の川魚のような風味が苦手・・・ではなく、ただただ臭い。
普通の魚の「臭い」ではなく、工業的な石油チックな危険な臭さ。
明石産の見た目も値段も極上のスズキからこの臭いがしたときから、一切買うのを止めたんです。
汚染の解消にともない、スズキがまた見直されています。
スズキ昔みたいに臭くなくなってるで~いっぺん買ってみてや~
と言われても、市場に来るものは産地までは分かっても「それがどこの海域で獲れたか」までは分からない。
なので、ずっと怖くて買えなかったというのが実情。
それでもきれいな水域で獲れるスズキには、臭みなどなく、昔同様美味しい魚なので
日本海側などの出生のはっきりしているものは、ちょこちょこ買ってます。
身質素晴らしく脂もあり。
上品ですが旨味もしっかり、臭みももちろんありません。
徐々に価格も上がってきてるのは、実際食べた方の需要の高まりを表しています。
「江戸前船橋瞬〆スズキ」をはじめ、神奈川など全国的に有名なブランドスズキも登場。
この辺りのスズキは地元人気が強く、わざわざこちらの市場に来ることもないです。こちらの市場で言えばやっぱり明石浦のスズキがトップブランド。値段もトップ。
そして
「もう昔のこと忘れてスズキも買ってええんちゃうの・・・」
そう思いはじめたころ、出会いは訪れます。
大阪泉佐野産地直送活け〆スズキ!
夏の真っ盛り、天然魚の水揚げがぐっと減るこの時期にして、素晴らしい魚体。
美美美!皮目には脂!
この素晴らしいスズキが明石の半額以下で買えるという奇跡!旨いし安いし臭みも全くない。何よりも獲れる場所まではっきりわかるので、安心して買えるのが最高。
7月ごろ入荷が始まり、秋になると
こんな感じで子は大きくなって「腹太」と呼ばれるようになります。
ここまで子が大きくなると、身は弱って全然使えない・・・なんてことはない!
個体差がかなりあるので、しっかり目利きする必要はありますが
さすがに腹皮は薄くなってますが、肥えてる魚体ならまだこんなに脂がのって、身質も充分使えるレベル。
このスズキの入荷が11月の末頃。
ちなみに同じ日の明石のスズキは
ガッリガリ
子も抜けてるし身も痩せてるしで、さすがに安かったです。
泉佐野のスズキ、美味しくて安くて最高ですが・・・毎日大漁に入荷・・・年末になっても、年明けになっても入ってきてました・・・さすがに飽きた
「スズキ」と聞いて気になることがひとつ
なあ!知ってる?クエってスズキの仲間やねんで。
昔そうやって教えていただき
「なるほど!よく見るとなんとなく似てるな~」
なんて思ってました。バカ
クエは「スズキ目」の魚、間違いなくスズキの仲間・・・・って
図鑑を見ていると
カマスだ~って♪
イトヒキアジだ~って♪
太刀魚だ~って~♪
みんなみんな仲間な~んだスズキ目なんだ~♪
あれ。。。似ても似つかない、近縁関係が全く見えてこない・・・
実に全魚種中47%の魚がスズキ目に属する。
なんでも分類学上まずは見た目で、カレイ目・フグ目・カサゴ目などに分け、残ったものを全てスズキ目に割り当てているそうで(諸説あります)
スズキ目だからといって、一概にスズキの仲間とは呼べないということになります。
あくまで図鑑とかの分類上の話に留めておくべき事案。食材として仲間と呼ぶには分類体系上「科」まで下りたあたりでしょうか。ちなみに「スズキ科」の魚となると、スズキ・ヒラスズキ・タイリクスズキの3種のみになります。これなら仲間でくくって納得。
スズキの実際の入荷状況
2023-8 大きなスズキがやっぱり旨い!うまみがドシッときます。
5kgアップの立派な魚体!
舞鶴定置網の活け〆直送品。
何本か入荷ありましたが、極上物はこの一本のみ。
後のはハラボテだったり、魚形が悪かったりでパス。
もう見るからに美味しそうでしょ!
キメ細やかで脂を含んだ極上の身質。
k1700とちょっと高めですが、これは値打あるでしょ!
2023-8 泉佐野からの活け〆直送!小さいけど美味い!
現地活け〆産地直送!
今年から泉佐野からの産地直送便も仕入れています。
1.5kg前後と魚体は小さめですが、どれも肥え方が非常にいいです。
内臓には脂肪のカタマリ!旨味しっかりで身の脂も多少あり!
これで値段は明石と比べると半額くらい。
これは夏の白身として重宝します!