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【旬の魚介】アサリ~「旬」を見極める!春の甘味と秋の濃厚な旨さを堪能する極意

旬の魚図鑑
アサリの基本情報

味の評価とおすすめ度:★★★★☆4.5
定番中の定番貝!「この貝がなくてはならない!」という方も多いでしょう。
輸入品のおかげで年中美味しいアサリが食べられ、安定している点も高評価。
旬の、特に春の国産アサリは別格の美味しさ!
シンプルな料理が似合うが、特に料理酒にこだわるとワンランクアップ!

価格・産地・呼び方など
輸入品は韓国・中国産が多く、小粒なほど安くk600~中粒でk900~と決して安くはない。
国産は北海道が一番多く、時期によっては安定的に入荷する。
小粒でもk1300~横綱クラスはk1800~
愛知や福島からも入荷するが、いずれもk1600~と輸入の倍近い値段。


仕入れ屋橋本
仕入れ屋橋本

市場に激震!?アサリを語る上で、避けては通れない「あの」事件

それは主に2022年に報道された
「熊本産あさり」産地偽装スキャンダル

偽りの「熊本産」~アサリ産地偽装が暴いた市場の闇

当時、全国で販売されていたアサリのうち、約8割が「熊本県産」表示でした。

農林水産省
農林水産省

にもかかわらず!このアサリの実に97%に、外国産のアサリが混入している可能性が高かったのです!

偽装の主犯は、ルールを悪用した蓄養

「長いところルール」の悪用

外国産(主に中国・韓国)のアサリを輸入
▶熊本の干潟に短期間だけ放流蓄養

その後
国内で蓄養した期間が一番長い
という理由で、「熊本県産」と表示して販売していました。

仕入れ屋橋本
仕入れ屋橋本

法律の隙間を突いていたということ。もうそれすらも面倒になったのか・・・蓄養すら行わず、輸入したアサリをそのまま「熊本県産」として流通させるケースも多かったんです

偽装の背景

この背景には、国産アサリの漁獲量激減があります。
熊本はかつて一大産地でしたが、漁が減っても市場の需要は「国産」に偏っていたため、偽装が横行する温床となってしまったわけです。

今、市場で何が変わったのか?

騒動から国と産地は一気に規制を厳格化。
最も重要な変更点は以下の通り。

1. ルールの厳格化と表示基準の明確化

●「短い蓄養」は国産ではない!

税務署員
農林水産省

輸入アサリを砂抜きや出荷調整のため国内で短期間置いた場合、それは産地ではない

と明確に線引きしました。

●「育成」の期間設定

海外から稚貝を輸入して「国産」と表示できるのは
国内で1年半以上
しっかりと育成=養殖した場合に限る
とされました。
これにより、数ヶ月程度の
見せかけ蓄養
による偽装は、もはや通用しなくなりました。

2. 熊本県のブランド回復への本気

●「熊本モデル」の導入

熊本県は独自の認証制度を導入し、
漁獲から流通までを追跡
できるトレーサビリティを徹底しています。
本物の熊本県産アサリを仕入れる際はこの
・産地証明書
・認証マーク

が絶対条件になっています。

3. 全国的な流通の現状

●輸入依存は変わらず

国内で流通するアサリの
約9割は依然として外国産です。
国産アサリの漁獲量自体は低いまま推移。
仕入れ現場では、正直な
外国産(中国産、韓国産)
の表示が以前より多く見られるようになりました。

「偽物」と品質は別問題!輸入アサリを使いこなしてこそ食のプロ!

産地偽装事件で問題となったのは、他でもない
「嘘をついたこと」です。
・外国産のアサリを国産と偽って表示し
・不当な利益を得た行為

こそが
・消費者の信頼と
・真面目な漁業者の努力
を裏切りました。

仕入れ屋橋本
仕入れ屋橋本

韓国産や中国産のアサリが品質的に劣っているわけではないということは理解していただきたい!

国産アサリの旬の旨さはもちろん最高!
しかし、安定して店を経営する上で、輸入アサリの存在は欠かせません
そのメリットは

①安定供給
国産アサリ
は漁獲量が少ない上に
・出荷できる時期が限られ
さらに
・天候や環境変動に左右されやすい
のが現実です。
その一方で
輸入アサリ
・広大な漁場を持ち
・年間を通じて供給が安定
メニューからアサリを欠かすことができないお店には、なくてはならない存在。
※それでも暑さ寒さで市場から姿を消すことはあります

②価格の安定性
価格が国産品に比べて
安価で安定しているため
コストコントロールが容易です。
大量にアサリを使用するスープやパスタなどで、この安定した価格帯は大きな強みとなります。

仕入れ屋橋本
仕入れ屋橋本

安定はしていますが、決して安くはないです。特に大粒のものは国産と変わらない値段の時も。粒が小さいほど安値

③品質の特性がある

●韓国産アサリ

旬 :
周年供給、旬という概念は薄い。
現地の漁期や管理によって品質が変動する。
漁場が安定しているため、年間を通じて一定の品質を維持しやすい。

味 :
国産に非常に近い風味を持つものが多い。
一般の方は明確な味の差を感じにくいことも!
クセが少なく、日本人好みの旨味を持つ。
なので国産アサリの代替として使いやすい。

●中国産アサリ

旬:
周年供給。
広大な漁場で漁獲されるため、季節による大きな品質のブレは少ない。
寒い時期は身が痩せることもあるが、安定的な供給量と価格が最大の強み。

味:
貝殻が薄い傾向、その分、身が大きいものが多い。
熱を通しても身が硬くなりにくい。
クセがなく、渋みや苦みが少ない。
だしが出て、旨味はしっかりしているが、繊細な磯の香りはやや控えめ。

大切なのは「正直」と「使い分け」

食のプロの責任として
・国産の旬を最高の状態で提供する
・輸入アサリの利点を理解し、正直に表示して(あるいは何も産地表示しない)最大限に活かすこと
の二点に集約されます。        

●国産と輸入アサリの使い分け

◇ 国産アサリ
旬:
年に2回(春:強い甘味、秋:濃厚な旨味)
価格:高い(特に旬の春は高騰)
味:繊細な甘味と強い磯の香り、複雑な旨味
仕入れ判断:「身入り」と「産地」を最重視
最高に美味しい時期を逃さない。

◇ 輸入アサリ(韓国・中国産)
旬:
周年安定供給(旬の概念は薄い)
価格:安価で安定している
味:クセがなく、安定した旨味
仕入れ判断:「鮮度管理」と「衛生面」を最重視
価格の安定感を活かす。

国産アサリ
「旬の味覚」
として主役に据え
酒蒸しや潮汁など
素材の味を最大限に活かすシンプルな調理
に使うのがベスト!
一方、輸入アサリ
「安定供給・安定価格」
を活かし
パスタや炊き込みご飯など
他の食材や調味料と組み合わせて使うことで、コストパフォーマンスと品質のバランスを取るのが賢い戦略と言えるでしょう。

ここからは国産のお話~アサリの真価は「旬」にあり

アサリは酒蒸し、味噌汁、パスタなど、どんな料理にも万能な定番食材。
しかし・・・

仕入れ屋橋本
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その本当の美味しさは、旬を逃さず仕入れた、身がパンパンに詰まった一級品でしか味わえません!

アサリが美味しくなるのは、地域によって多少前後しますが、一般的に年に2回ある産卵前
※関東以南での産卵は春と秋の2回、東北では1回〜2回、北海道では夏に1回とされています。
貝が生命を繋ぐために栄養を必死に蓄える、その瞬間こそが、最高のタイミング!

極上の甘味と旨味が凝縮!春アサリの魅力

アサリの最初の旬は、まさに潮干狩りのシーズン!
春(3月~5月頃)です。

身入り:
冬の間にゆっくりと栄養を蓄えたアサリは、春の産卵を前に身が最も肥大します。
殻を開けると、身がはちきれんばかりに詰まった、プリプリの状態!

味の特徴:
この時期の身は
・上品な甘味と
・凝縮された貝の旨味

が際立ちます。
シンプル酒蒸し潮汁にすることで、その繊細な味を最大限に楽しめます。

市場からアサリが消える夏、そして「二度目の旬」~秋アサリ

アサリは貝の中でも水温の変化に敏感。
夏場(特に梅雨明けから真夏にかけて)
・産卵後の疲労
・高水温の影響
で貝が弱りやすく
・出荷量が極端に減少したり
・市場から姿を消したり

することがあります。

仕入れ屋橋本
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せっかく入荷があっても「水温が高いせいで全部死んでる!」なんてこともザラにあります。

しかし、涼しくなって水温が安定してくると、アサリは再び栄養を蓄え始めます。
これが「二度目の旬」
秋アサリ(9月~11月頃)です。

身入り:
春ほど爆発的な身の張りではないものの、秋のアサリは濃厚な旨味成分をたっぷりと蓄えています。

味の特徴:
春の甘味に比べ、秋は
・潮の香りが強く
・深みのあるコク

が特徴。
バター炒めや炊き込みご飯など、他の食材と組み合わせても貝の存在感が負けない、力強い味わいになります。

産地で変わる「個性」~主役級アサリたち

アサリは生育環境によって
・身の張り
・味わい
・色合い
代表的な産地の特徴を見ていきましょう!

愛知県三河湾 手掘りアサリ

全国トップクラスの生産量。
安定した品質で市場の基盤を支えます。
 味が濃く、風味豊か。
定番の味噌汁や深川飯などでおすすめ。

国産では最も入荷量の多い北海道産

仕入れ屋橋本
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非常に大粒のものが多く、お客様にも驚いてもらえるものが入荷します。圧倒的に入荷量が多いのは厚岸ですが、別海町と根室からも来ます。

北海道のアサリのほとんどが
・丸みがあり
・膨らみが強い
いわゆる「ダルマ型」と呼ばれるもの。

北海道のアサリが「ダルマ型」になりやすい理由

アサリの貝殻の形は、主に
・水温
・生息密度

という二つの環境要因に強く影響を受けます。

●低水温というストレス要因
北海道、特に主要な産地である
・厚岸湖
・風蓮湖などは
本州以南に比べて水温が非常に低い期間が長いです。

低水温下では、アサリの代謝や成長速度が遅くなり「ダルマ型」になりやすいことが知られています。
これは体を守るために厚く丸い殻を形成するという、一種の環境ストレスへの適応と考えられています。

逆に、温暖な地域で順調に、早く成長するアサリは、薄く扁平になりやすいです。

●生息密度と餌の量
貝殻が平たいアサリは、一般的に餌が豊富で生息密度が低い環境で育ちます。
北海道の漁場では、特に管理されている場所を除き
・競争が激しくなったり
・冬場の餌不足が厳しくなったり

することで、扁平に育つための十分な好条件が持続しにくい可能性があります。

・低水温で
・餌不足に陥りやすい
という厳しい環境でゆっくり育つ結果、北海道産のアサリは厚みのある「ダルマ型」に。
これが
・身離れが良い
・大粒になりやすい
といった個性につながっています。

仕入れ屋橋本
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そのせいか・・・北海道のアサリは「大きいだけで旨味も甘味も少ない」というイメージが強く、ほとんど買っていませんでした。

ところが!その価値観をガラリと変える極上のアサリがこちら

北海道「根室産」横綱アサリ!

仲買
仲買

一番でっかいやつを「横綱」。大きさによって「大関」とか「小結」って呼んでるよ!

大粒の中にぎっしりの身。
しっかり食べ応えがあって、甘味・旨味・風味のどれをとっても一級品!

ちなみにこちら

同じ北海道道東の厚岸産。

仕入れ屋橋本
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おすすめできるのは根室産だけ!厚岸の方はやっぱり甘味が少ない。もしかしたら今年に限ってのことかもなので、今後も検証を続けます。

食べ応えのあるしっかりした身質でバターとの相性が抜群!
値段は高いが、これは絶対食べてもらいたい価値ある逸品です!

国産アサリは流通量が少ないため、仕入れは産地と品質を吟味することが特に重要です。
最高の状態を見極め、旬の旨味を余すことなく味わいましょう。

アサリの実際の入荷状況

2025-10 色んな産地のアサリが大集合!やっぱり旬ですね~

仕入れ屋橋本
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今日入荷していたのは全部で4種類!

まずはいつもの。
蓋の文字が読みにくいですが「韓国産」

こちらは「愛知産」
画像ではわかりにくいですが、パッと見て韓国産より鮮やかさがあり、区別しやすいです。

こちらは北海道【別海町尾岱沼】のもの。
黒ずんだ貝殻が特徴的。
ちょっと弱いのか?口開いちゃってますね。
身入りはかなりいいです。

そして最後は北海道【厚岸】
小さめでいわゆる「ダルマ型」というよりは、平べったい。
こちら酒蒸しで食べてみましたが

仕入れ屋橋本
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身入りはよく、甘味があって美味しいです。かなり旨味の強い酒を使ったこともありますが、依然食べたものとは全く印象が違いました。秋の旬はいけるのか?

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