さてナマコと言えば、赤・青・黒の3種類があるのはご存知かと。
かつては全て「マナマコ」で生息域によって色が変わるとされていました。
近年のDNA鑑定の結果、赤は「アカナマコ」、青と黒が「マナマコ」として分別されています。
一般的に値段はアカナマコは高くて、アオナマコは安いとされていますが・・・
こちらの市場ではほとんど区別することなく「ナマコ」として売られてる気がします。『アカナマコやで~』と言って売ってるものでもそれっぽくないやつがいます。極まれに「アオナマコ」として非常に安く売られているものを見かける程度。クロは全然見ないので今回は無視。
こちらは鳥羽のアカナマコ。
こちらの市場では「最高級品」とされるもの。
さすがに見るからに赤っぽくてアカナマコしてます。
黒いマジックで何やら呪文のようなサインが見えますが、これ「とば金」と書いてあるんですって。
鳥羽の中でも一種のブランドアカナマコの証。
で!
これが同時期出回っていた「兵庫産」アカナマコ???ホンマ?
底面はみんな赤いけど・・・
微妙でなんか腑に落ちない感じ。
でも食べて美味しければそれでよし!一度食べ比べてみましょう。
ということで。色んな産地の「ナマコ」を食べてみよう!
アオナマコは「臭みがあって硬くてまずい!」という方もいますが、地域によっては「圧倒的にアオナマコが好まれる」という方もいます。
これは赤・青の違いというより、生息場所の環境の差では?砂底より岩礁域の方がエサが豊富で大きく豊かに育つ。砂泥底は地域の環境によっては臭みを含むこともあるのかも。
小さいものは柔らかく、大きいものの方がコリコリという点から推理。青は餌が豊富でない海で育つので成長が遅く小さいものが多い=柔らかいものを好む方向け。赤はしっかり成長し旨くてコリコリ。じっちゃんの名にかけて。
ということで今回は
鳥羽・兵庫・徳島の3つの産地をご用意。
大きさもちょっと違うもの。
一応仲買さんは全部『アカナマコやで~』って売ってたものです。ホンマかよ
底面はこんな感じ。
処理して薄くスライスすると
なんか青っぽいやつおるけど・・・
塩味の強さは、兵庫のやつだけ内臓にかなり砂を持っていたので、それも何か関係あるかもしれませんね。
ちなみにこの日(2024年12月)現在のお値段は
鳥羽kg4200円・兵庫kg3000円・徳島kg3200円。
このうち兵庫と徳島はビニール袋に入って海水に浸けられた状態で入荷。
1kgの袋から出して目方量ったら・・・約10%ダウン!890gしか入ってない。
なので実質は兵庫kg3400円・徳島3600円という所でしょうか。
鳥羽は4kgの箱で売られてますが、4kg以上パンパンに目方入ってて、個別に取り出してもほとんど目切れしません。
正月開けるまでは高値が続きますが、えべっさん過ぎたあたりから安くなります。
ちなみに2024年は1月半ばの時点で、兵庫県産がkg1500円!半額以下ですね。
1㎏入りの袋に1.2㎏も入ってました・・・物が余ってきてる?
いずれにせよ、少しくらいの値段の差なら、鳥羽がおすすめです。
3種類の産地、全部まとめて土佐酢に漬けました。
兵庫で気になっていた塩辛さは抜け、徳島とほぼ区別がつかない味と食感。
こうなっても鳥羽だけは明らかに食感よく、味もいいですよ~
ナマコを処理する(手抜きバージョン)
ナマコを茶ぶりにする時は、割りに分厚く切るのでいいのですが、生食の時は薄くスライスする必要がありますよね。
わしは生で食べる時でも、ごっつく切るのがええねん!
という方はほっといて、薄くスライスって結構難しくないですか?
まな板めっちゃ滑るし、ちょっと危ない。
それを簡単に安全にする方法!
ナマコ処理する時って
▶頭と肛門様を切り落としてから
▶お腹開けて
▶スプーンとかで内臓かき出して
ってやるのが一般的では?
それを・・・
いきなりズバット!口から包丁入れて、背と腹に切り分けます。
パカッとこんな感じに。
この状態で口と肛門様をそぎ取り、包丁でこすって内臓とかもきれいに除きます。
OPENしてるのでめっちゃやりやすいし早いです。
ひっくり返して平らなとこに置いとくと、ベチャーッと平らになってくれます。
後はスライスするだけ。
まな板には体の内側だけがついてるので、全然滑らないので作業が楽チン。
ナマコは手の脂でも身が溶けだすほどデリケートなので、作業は早いに越したことはない。
仕込み時間の短縮に!私は昔これでやってて、師匠に「そんなやり方、基本とちゃうやろ!」と怒られましたが・・・ええじゃないか、早いんだから。
ナマコの内臓は海鼠腸(このわた)
「このわた」はウニ・からすみと並んぶ 日本三大珍味のひとつ。
ナマコの内臓は塩辛にしてコノワタ、卵巣はコノコとしても人気がありますが・・・
ナマコ2尾程度の量ではこのくらい。
商品にするというより、自分で楽しむか、サービスでちょこっと盛ってあげるかというところ。
商品として提供するには、いっぱいナマコをさばく必要があります。
極少量しか取れない希少部位なんです。でも作るのは簡単!
▶砂を丁寧にしごき出す(ここだけメンドクサ地獄)
▶海水程度の塩水で洗う
▶酒に浸して臭みとり
▶内臓の重さの6%の塩を混ぜて寝かせる
▶好みで味醂と醤油であたりを入れる
LET’S TRY!
柔らかい食感が好みなら!「茶ぶり」にする手もあり
ナマコをお茶で加熱することで、柔らかくするとともに臭みを取り、風味をよくする。
それが「茶ぶり」
まずはやり方から
先にナマコの漬け酢を作っておきます。
淡口・酢・味醂同割で合わせ、だしを加えて沸かさないように一旦加熱して冷ましておく。
ナマコを処理してスライス。
そのままスライスして食べるときよりもかなり厚めにスライス。
好みによりますが、この画像で5mmくらい。
ナマコをザルなどに入れて
ナマコ同士がくっつかないようかき混ぜながら、70℃くらいのお茶に入れたり上げたりを繰り返す。
目で確認して表面がぷっくりする程度に加熱。
70℃は正確に測らないでもOK。沸きかけたお茶をちょっと冷まして、手がギリギリ入れれるくらいかな。
すぐに氷水で冷やし込み。
作っておいたナマコの漬け酢でサッと洗って10分ほど寝かせる。
ザルに移して漬け酢を一旦切り、新たな漬け酢に漬け直す。
ゆずの輪切りなどを加えてもいいですね。
一晩おいたら完成。
加熱の時、沸騰させたお茶にサッと数秒くぐらせる方もいますが
右があえて加熱しすぎたもの。
身は縮んで、食感もフニャフニャ過ぎてアウト。
「沸いたお茶に入れて何秒」とか計ってやるとこんな失敗が起きる可能性もあります。
なので70℃くらいで自分の目で見ながら加熱する方が僕は安心。
①風味もコリコリ食感も鳥羽がダントツ一番!
②一番柔らかいのは徳島。でもこれは一番小さいというのも関係してるかも。
➂兵庫と徳島は風味の点ではよく似ている。が、兵庫は特に強く「塩味」を感じた。
④臭みのあるやつはいなかった。