味・おすすめ度:★★★★☆4.0
「ハタ科の魚で一番旨い」
という人もいるほど味の評価は高い・・・が!
夏場によく出回る「活」には虫のいる可能性高い。
ハズレを引いたショックの大きさで評価は低め。
価格・産地・呼び方など
こちらの市場ではもっぱら「アコウ」と呼ぶ。
標準和名である「キジハタ」は関東のもの。
小さいものでもk2500~大きいほど高くk7000になることも。
冬の「ふぐ」夏の「アコウ」
それほど関西では夏の食文化を代表する存在だったアコウ。
でも今はそれほど『夏の風物詩』という感じではないですね。他にも美味しい白身魚は出回りますし、何と言っても「はも」の存在に圧倒されているイメージ。
かつては瀬戸内海での漁獲量も多かったのですが、2000年頃からグッとその数を減らしています。
今では『夏』に入荷するアコウは圧倒的に日本海の物が多い。
なので『関西の夏を代表する魚』とまでは言えないでしょうか。
それでも美味しい魚であることに変わりはありません。
アイナメやメイチダイなどと並んで「夏に美味しい魚」のひとつとしていまだ人気は高いです。
200~300gの小さなアコウでも活けならk2500~
成長が遅い魚(40㎝ほどになるのに10年かかるとか)なので、大きいほど高値をつけます。
今年は2kgサイズの物でk20000円つけてましたね~
ちなみに関東で「アコウ」というと
こちらの「アコウダイ」を指す地域も多くややこしい。
そんな夏の魚に・・・その地位を揺るがす難点あり
難点その①
アコウの産卵期は・・・『夏』!?
なので実際に美味しいのはその前、晩春~初夏にかけて。
産卵前後の夏の真っ盛りに買う時は注意が必要なのです。
とは言えあのハタ科の魚なので産卵期でも、よほどのことが無い限り味は良いはず!
この丸々肥えたアコウは10月の物。
これから冬に向けてどんどん良くなっていくでしょう。
『夏の魚』ですが真夏に買う時は注意が必要という難点。
もちろん産地や個体差があるので、真夏でもめちゃくちゃ肥えたアコウを見かけることもあります。
なのでそこまで大きな難点でもない。
のですが!
難点その②
こちらはちょっと大問題かも・・・
このヒルみたいな寄生虫。
彼の名は「イカリムシ」
特に夏の日本海からくる泳ぎのアコウに多く見られる気がします。
たまに大量に付着しているのでかなり気持ち悪い。
引っ張ったらすぐ抜けるのであまり問題にしなくていいような気がしますが・・・
実は身の方が大問題!
なんかね、細~い糸の塊みたいなの・・・。リリアトレマ・スクリジャビニていう寄生虫らしいのですが・・・イカリムシの先端が身にめり込んだもの!
(コメントいただき修正しました)
釣り人さんの感覚では釣り上げた中の約20%にこういう寄生虫がいるということですが・・・
市場に入荷してくるもの特に夏の日本海からくる泳ぎ物に関しては、もっとそれ以上の確率で潜んでいる気がします。
人体には影響ないから食べても大丈夫!
ってそういう問題ではない!
この画像の物はまだ数も少ないので、その部分取り除けば使えないことないレベルですが・・・もうどうしようもないほどこの虫に憑りつかれているやつも見かけます。
しかも三枚におろした身側からは全く見えないのに、皮を引いたら皮目にびっしり!なんてことも。
怖くて「焼き霜造り」や「丸ごと煮付け」にはできません。
アコウは元々安い魚ではない上に、夏枯れの魚が少ない時期に救世主の様に現れる。
どうしても価格は高騰気味。
なのにこういう寄生虫に怯えながら買わないといけないなんて!
アコウは夏らしくて味もいい魚。でもこういう可能性を念頭に置いて買った方がいいかもしれませんね。
アコウは「クエより美味い!」は本当か?
ハタ科の魚の中でも最も知名度が高く、その美味しさを広く知られるのは『クエ』。
なので他のハタ科の魚の美味しさを「クエに匹敵する旨さ!」などと例えることも多いと思います。
特にアコウは「クエより美味い!」との評価もある魚。
アコウもクエも産地や獲れる時期・処理によって、身質や味わいの印象はガラリと変わります。
なので単純に「アコウはクエより美味い!」とは言い切れませんし、逆に「アコウはクエより美味しくない!」とも言い切れない。
クエは寒い冬の「鍋の王様」としてその名をとどろかせる魚。アコウはその上品で深い味わいが『夏を代表する魚』として重宝されている魚。そもそも個性・イメージ・持ち味が違うので、実質的には比較するものでなないですね。
それでも「アコウはクエより美味い」は売り言葉としては優秀です。
アコウは鍋などの加熱料理にするとキュッとしまりますが全くパサつかない。
皮やあら周りの豊潤な旨味。
身は硬すぎずジューシーでプリッと食感。
味わい深く口の中で旨味を増していく。
10月やや脂ののったアコウでこんな感じ。食べた瞬間のインパクトではなく、じっくり味わいながら楽しめる。通好みの深~い味わいです。
ところでキジハタのキジってなんだろか?
ハタ科の魚の名前は「オオモンハタ」「アカハタ」など模様や体色によるものが多く何となくイメージの付くものが多い。
でも「キジ」って・・・
そう!日本の国鳥「キジ」ということ。
ハタ科の魚の中でも一番美味しいとまで言われるこの魚に、日本を代表する鳥の名を冠したのです。
説としては
①キジのような模様を持つ魚。
⇒どこにどうキジの模様があるのかわからない・・・
⓶目の色がキジのように緑だから
確かに!
言われてみるまで気づきませんでした。
緑に限定することなく「キジのような美しい目を持つ魚」
言葉として僕の中ではこれがスッキリ入ってきました。日本を代表する美しく美味しい魚としておすすめしたいと思います。
ちなみにアコウは漢字で「石茂魚」
茂=草が生い茂るという意味があります。
藻の多い磯に多く、海底の石のすき間や岩穴に棲むからでしょう。
こちらは特に美しい名前でもないですね~
アコウの実際の入荷状況
2023-5夏を代表する魚らしい素晴らしい肥え方!そして脂のり
今まで見たことある中で一番脂がのってて美味しかったです!
最高評価をいただいた極上のアコウ!それがこちら!
セリに並んだから冗談で安値書いたら落ちてきたわ~
なんとkgあたり2000円!〆ではなく泳ぎでですよ!
めっちゃ肥えてる
今回の「目」
素晴らしい身質と脂のり、そして極上の味わい!この値段ではもう2度とないんでしょうね~
2022-10愛媛産!丸々と肥えた泳ぎのアコウを熟成
活け〆神経抜き~血抜きから3日目。
軽く熟成のかかかった愛媛のアコウ。
ウロコをすき引き後、2枚におろすとこの身!
全身に脂が回って、特にひれ際はしっかり脂。
夏場よりいい感じ。
めっちゃ美味しそうですが、やっぱりいました。
ウロコをすき引きしたので、皮目の「虫」の存在を皮ごしに確認。
なので皮は引いて調理します。
自分で食べるならいざ知らず、いくら食べても何ともないとは言え、お客様に虫付きで提供するのは・・・
今回は「虫」が少なく、エンガワや背側の端っこだけだったので簡単にきれいに掃除出来ました。
しっかりとした身質なので薄造りがおすすめ!上品さの中に深い味わいと適度な脂の甘さが極上。全く食べ飽きしないです!