味・おすすめ度:★★★★☆4.0
しまりが早く、活かり気を求めて買うのはおすすめできない。
夏場他の白身魚が少ない時に素晴らしい脂のりの物が入荷する。
価格・産地・呼び方など
本名ハマフエフキで広く通用するが、こちらではクチミが一般的。
土佐清水からの直送の他、徳島からの活け物が多い。
k1500円を割ることは少ないが、それ以上高くもならない。
お恥ずかしながらこの魚、最近までその良さを分かっておらず、ほとんど買うことが無かった!
この魚の印象は
「活けでもすぐ締まる。締まり方もなんかフワフワした感じ。パチッとカチッと締まってくれへん!」
朝イチの活け〆にも関わらず、市場に並んでいる時点で締まってしまってるものが多い。
活かってるものを買って帰っても、夕方には締まり始めてる。
締まったら水っぽい?他の魚に比べて特にブヨブヨ感が気になる。
言うなれば養殖の鯛が締まったみたいな感じか・・・
その割には意外なほど高値が付くこともある。
安くてもk1500円を割らないイメージ。
味は悪くはないが、身の旨味も脂の甘みも物足らない(昔の印象ですよ)
図鑑やネットでは「美味しい魚」として紹介されているのには、少々違和感を感じていました。
しかしその出会いはある日突然、嵐のようにやってきます。
うだるような暑さの8月のある日、いつものように魚を求め市場をさまよい歩く。
「夏枯れ」のこの時期、ましてやお盆開けすぐだ、まともな活け魚なんてあるわけもない。
唯一並んでるのはアイツ、そうハマフエフキだけ・・・
かつては「もう2度と買うもんか!」と心に決めた魚だが、あまりの魚の少なさに心が揺れ動く。
って・・ちょっと待って!
8月入荷の徳島産、活けのハマフエフキ。
今までもよく肥えたものはあったが、なぜか今までとは違う。
トキメキにも似た何かピンとくるものを感じる。
やっぱりだ!すごい内臓脂肪をもってやがる。
めちゃくちゃ脂のってるよ~
でも相変わらず締まるの早い。
脂が甘く、それが身の旨味を引き立ててる!これ美味いやん!
私の目利きが悪かっただけのようです!ただ大阪のお客さんは「活かった魚」が好きなので注文も多いですが、この魚を「活け魚」として納品するには勇気がいる。入れませんけどね。
活け魚としては頼りないですが、ハナからそういう物としてみればよかったんです。
活かった魚として見なければ、あの変なしまり方も許容範囲で全く気にならない。
よくよく考えると、下手に活けで入荷するから変なイメージだったんですね。
この魚に活かり気を求めるのは失敗の元ということ。
またある日、今度は10月入荷の土佐清水産3.9kgの大物。
肩口から尻尾にかけて丸々と肥えた超優良魚体!
内臓脂肪がしっかり、今回は白子も入っています。
胃の中にはほぼほぼ消化された「カマス」と見られる魚。
やっぱりいい脂!
産地で〆て入荷したものですが、活けからの締まりよりも身質がいいような・・・
身の中に脂が混在するも、皮目の分厚い脂に圧倒される。
刺身は口に入れると脂の甘さが全体にジュワ~っと広がります。
脂の無い時には目立たなかった身の旨味も、脂に引き立てられるようにしっかりと感じられる!
活けで入荷した時、血抜き後は活かり気を保とうとせず、そのまま氷海水でカッチカチに〆てしまうなど、処理方法を変えてみます。この魚に活かり気なんて求めません!
脂が乗れば極上魚に早変わり!では脂がのる時期はいつなのか?
こちらの市場へは春~夏にかけて、断続的に、時にはまとまって入荷があるイメージ。
しかしここまで脂のある物がずっと入荷するわけではありません。
脂があってなんぼの魚やと思います。なのでピンポイントで脂のりの良い時期を見極める!
そこで産卵期を調べてみると
沖縄では「2~11月」
ん?何かの間違いかな?長すぎへん。
まさかクソ寒い「11~2月」ってこともないやろうし・・・
他を調べると
「水温のさがる12・1月を除く2~11月」とはっきり記載。
ほぼ一年中産卵期やん
ということは「時期」ではなく「魚体」をしっかり見極めて買えということですね。
春ごろ出るものより、夏~秋にかけての方が物がいい印象。
ですが季節に関わらず魚体の大きさと肥えかたで判断して買い付けます。
実際の入荷状況
2022-10長崎の活け〆物。沖縄・九州で人気だというのが分かります。
カチッとしまって丸々肥えた良個体!
活け〆後血抜き処理された極上品です。
1kg強の魚体でkgあたり2200円は、こちらの市場の感覚ではかなり高い方。
徳島からよく入荷する活けの物でk1500~1800。活けでも滅多に2000円超えることはないので。
皮目にピシッといい脂!
しっとり柔らかくねっとりまったり。真鯛とはまた違う、旨味と甘みが強い絶品白身です!
活かり気に重点を置くのか?身の旨味に重点を置くのか?
相場感の違いはこの辺からきてると思います。
大阪では「活かり気」を求めるお客様が多いという理由で、こういう魚が不当に低く評価されている傾向にある気がします。
2022-8三宅島からすごいのきました!
ドンッと来ました4.6kg!
めっちゃ肥えてますね~現地活け〆で身質もかなり良さそう!
皮目にしっかり脂のり。
身にも脂が混濁してます。
めちゃくちゃ美味いです!身の旨味がしっかりあるし、脂のコクと甘さがたまりません。
2022-7土佐清水便にはすでにしっかり白子
めっちゃ肥えたやつが来ました!
今年初めて買ったのがこのハマフエフキ。
相変わらずですが、身質は柔らかい。
でもしっとりと脂気もあり、旨味も充分!
キレイな白子入り!
徳島の活けも入荷してますがこちらはもう少ししてから買おうと思います。
ハマフエフキの料理・レシピ
ハマフエフキの刺身
口に入れた瞬間に脂の甘さがパァ~って広がります。脂のある無しでかなり味の印象が変わる魚ではないでしょうか?
ハマフエフキのかぶと焼き
塩を当てて1時間おいてからじっくり焼き上げました。
皮目に独特の風味がありますね~身自体の味は淡白ですが、脂がしっかりのってたので甘味がありました!
ハマフエフキのカルパッチョ
味付は単純に塩コショウとオリーブオイル、ライム果汁のみ。
塩を当てておいたおかげか?かえって身の味わいがしっかり感じられる気がします。でもやっぱり脂がしっかりあることで美味しさが倍増してますね!