味の評価とおすすめ度:★★★★☆3.9
市場で活け〆された物でもしまりが早いものが多少出やすい。
また汚染された海でも元気なので、まれに内蔵が臭い個体があるので評価を落とした。
が、きれいな海で捕れきちんと活け〆処理されたものは美味い。
特に寒い時期、良く肥えて肝の大きくなったものは評価も跳ね上がる。
価格・産地・呼び方など
近海各地から泳ぎで入荷。冬になるとめっちゃ入荷量多い。
市場では単純に「ハゲ」と呼ばれるが、マルハゲと区別する時は「長ハゲ」「ウマヅラ」と呼ばれる。
活けでk1500~1800くらい。〆は極端に値段を落とす。
ウマヅラか~なんかマルハゲの下って感じやね。安もんのイメージしかないわ!
確かに・・・市場での価格もマルハゲとウマヅラではkg単価でも1000円以上違うことが多い。
値段だけではなく、身の旨味・肝の旨味までがワンランク下とされる傾向にあります。
これはウマヅラが汚染された海でも生活できるため「内臓が臭い」というイメージがあることも関係あるでしょう。
ただきれいな海で捕れたもので、適切に活け〆されたものを食べ比べた場合、そこまで差はないと感じる。
富山のブランド「魚津寒ハギ・如月王」など
比較的魚体も大きくなり、肝も大きくなるので好んで使う地域も多いです。
冬の寒さに耐えたウマヅラは身が引き締まって上品さの中に甘味・旨味が豊か。
濃厚な肝も大きくなるので、どんどんおすすめできる魚であります。
でも活かってるときよりも、締まってから差がでるように感じます。下手に〆るとウマヅラの方が水っぽくなりやすく味もさっぱりした感じ。そして市場で活け〆されたものでも締まりやすい。これは〆方の問題だと思う、マルハゲでも水っぽく締まる奴多いので何とも言えませんが。肝も鮮度が落ちると臭みが出やすいイメージです。〆る技術が重要です!
ウマヅラの方が大きな群れで行動し、一度で大量に水揚げがあり圧倒的に入荷量が多い。
なので単純に物量の関係で値段が安くなる。
ついでに悪いものに当たりやすいので「安かろう不味かろう」という印象が強いのだと思います。
というのも、理想的な活け〆の仕事は
→えら(動脈)切って水に放ち放血
→神経抜き
→冷やし込み
ですがウマヅラは大量入荷&さばき方が※特殊なので
※頭のトゲの後ろくらいから包丁を入れて中骨まで断ち、むしり取りように頭を外すのが一般的。
こんな感じで、初めから頭の後ろからガッツリ落として活け〆されているものが多い。
これだけ切り口があらわになると、水に放てないので放血もしていなければ冷やし込みも不十分。
神経抜きはやりやすくなりますが、これでは身が締まりやすくなっても仕方がない・・・
昔ながらの慣習的な〆方の継続?大量入荷で早く処理するため?
対してマルハゲは比較的入荷量が少ないため、丁寧に〆られたものも多い。
この辺りの処理の差も品質に大きく影響していると考えられます。
その旨さは「ふぐ」に例えられるほどですが・・・
売り言葉に「ふぐにも負けない美味しさ!」とありますが、さすがにそれはどうかと。
アッ・・・ふぐは天然物の話ですよ。
活かってる間はまだしも、熟成させてみるとその差は歴然。
しっかりした身質に底味の強いふぐに身の味ではとてもかないません。
しかし!
「ハゲ」にはふぐでは絶対にできない楽しみ方があるんです。
それが
肝!
このまま生or湯通ししてポン酢で食べたり、裏ごししたものをポン酢や醤油と合わせてみたり。
薄造りで肝を巻いて食べたり、肝ポン酢を添えたり!今日は塩焼きに肝醤油を添えてみました。
マルハゲ同様、肝を使った料理は絶品!
「ハゲ」ほど肝が珍重される魚もありません。
なので肝の量が不安定な「天然物」より
肝が安定してたっぷりの「養殖物」の方が高値になるという逆転現象。
スゴイ肝の量・・・
ちなみに
天然物でもしっかり見極めれば、こんなにしっかり肝が入ってます。
これは
舞鶴から直送されてきた昼網のウマヅラ。
活け〆してないのが残念ですが、冷やし込みがよく鮮度感抜群。
めちゃくちゃ肥えてる!
この時期は色んな産地から色んなウマヅラが入ってきますが・・・同じ産地でも肝の入り方に個体差があったり、日によって差があったり・・・しっかり目利きが必要です。
オスなのか?メスなのか?それが結構重要です
だいたいの魚で「オスかメス」かの価値を決める基準は、「白子か真子」ということでしょう。
それがトラフグのように、白子にはものすごい価値があるのに、真子は毒・・・という場合を除けばオスかメスかをあまり気にしていないでは?
産卵直前のメスは買わないけど、オスならまだ検討の余地ありという魚もあり。また夏場の明石の鯛は小さいメスを狙うなど、目利きする時は場合によってはオスメスしっかり見極めることもあります。
しかし!このウマヅラだけはしっかりとオスか?メスか?を見て買うのがベスト。
真子か白子かはほとんど問題ではないです。どっちもあんまり美味しくないので・・・
問題はズバリ「身」!特に刺身で使いたい場合。
というのも、まずはメスをさばいてみると
こんな感じ。
白く透明感のある美しい白身。
ここで注目すべきは「血合い」です。
身の上下に付いた赤っぽいビラビラしたやつ。
刺身にするときは通常これは外して、身とは別に湯通しします。
そしてオス
身が赤っぽいし、やたらと血合いデカい・・・
これを外すと
めちゃくちゃ歩留りが悪い!
赤っぽい身は見た目も悪い。
マルハゲはここまで極端ではないので、この辺りも値段と関係していると思われます。
血合いの部分は臭みも出やすいので、鍋や焼き物など加熱する料理でも、メスよりも一枚下の味となりやすい。
なので絶対「メス」を選ぶべき!
ではオスとメスの見分け方とは?
これだけ重要なのだから、オスメスしっかり見分ける方法を知りたい!ですよね・・・
よく聞くのが
「おでこが突き出てるのがオスで、シュッとしてるのがメス」
ではご覧ください
実はこれ上がメスで下がオスなんですが・・・
全然違いが分からん
なのでもう一つの見分け方!
「体高があってふっくらしてるのがメス、細長いのがオス」
上がメスで下がオス。
これはなかなか分かりやすいでしょ!
このやり方も、ここまで大きいやつは見分けがつきやすいですが、小さいものはちょっと分かりにくい。あとバラして売られてるときは選べるのでいいんですが、「箱でなんぼ」って売られてるときはオス混じりでも買わざるを得ない場合も・・・
ちなみにマルハゲのオス・メスの見分け方は
背ビレの先が細長くビヨ~ンと伸びてるのがオスです。
でもマルハゲはウマヅラほど、極端な違いは無いのであまり気にしなくていいかも。
泳ぎ・活け〆・追っかけなど色んな流通形態があります。
市場で一番よく見かけるのが
泳ぎで市場に来たものを活け〆して並べてあるもの。
先ほどの舞鶴は現地で〆てあるし、如月王は活け〆脱血プレミアム。
泳ぎで並べられることも。
でも
すぐひっくり返ってしまうので生簀に入れて観賞用にするには難しい。
そしてこんなのも
むきはげ。
煮物・焼き物・唐揚げなどに非常に便利。
そして安い!・・・今日でkg1000円。皮も頭も内臓もないので歩留り50と考えるとk500円程度。
ただ肝心の肝がないのはさみしい・・・ので
先の舞鶴や養殖のような、しっかり肝の入ったハゲは肝が有り余ります。その時は肝ポン酢を多めに作っておき、「むきはげ」の唐揚げに添えるなど。やっぱり肝があった方がよく注文されますし、喜ばれます。
ウマヅラハギの実際の入荷状況
2024-2 入荷した日はそんなに変わらないのに・・・産地でえらい違い
まずは舞鶴のウマヅラ
オスメス混じりで買いましたが、どちらも良く肥えています。
特にメスはぽってり大きくいい感じ。
肝の入りも最高!
それに対しわずか数日後の入荷の愛媛産
画像では分かりにくいでしょうか・・・
骨が浮き出るほどガリッガリ。
お腹もぺったんこで絶対肝なんて入ってません。
メスでこれですから、オスなんかもう食べるとこないですよ~