ずわい蟹・タラバ蟹・毛蟹、いわゆる【三大蟹】に比べると、一般的な知名度は圧倒的に低い・・・
その原因として考えられるのが
①生息域が釧路や根室などに限られ非常に狭いこと
②漁期が7月~8月ごろと非常に短いこと。
漁期に関しては釧路では3~7月とわりかし長いですが、市場に流通するほとんどが根室の「花咲カニかご漁」の物。実際の解禁は7月1日~9月下旬だそうですが、資源保護の観点から漁師さんが自主休漁を設けるので、市場で見かける期間は非常に短いです。
知名度が低い分、お客様へのおすすめの仕方に工夫が必要ですが、非常に美味しい&味の割に安い!
もっともっと食べてもらって、喜んでもらいたい食材のひとつです。
ちなみに「花咲ガニ」の名前の由来は
・根室花咲港で水揚げがあるから
というのが有力ですが、おすすめの話題作りとしては
【ゆでると花が咲いたように色鮮やかになるから】の方がキレイで興味を持ってもらえると思います!めちゃ赤い!
肝心のお味はというと
まず活きたものを仕入れてゆがいた物であれば、ほとんどハズレはありません。
オスもメスも身がパンパンに詰まって、身ばなれも非常にいい。
特にメスは
味噌やら内子やらもたっぷり!
ふんどしの中身がめちゃ旨!濃厚な味噌と内子とが超珍味。
身質はブリンと弾力があって、蟹というよりロブスターに近いしっかりとした食感。
濃厚な旨味にコクがあって奥行きのある甘味も魅力的!
なのですが!
「クセがある」「かすかに臭みがある」
など風味に関してはマイナスの評価も一部見受けられます。
この評価は人それぞれの好みだと思います!ごくわずかに渋味を感じるこの風味・・・僕は大好物!めちゃくちゃ好きな味です。
花咲ガニのゆがき方
花咲ガニを扱う上でちょっと恐怖なのが・・・
全身を覆うこの「トゲトゲ」
突き刺さるほどの鋭さはないものの、やっぱり痛いです。
慣れない方は軍手などを使用し十分ご注意ください。
蟹を美味しくゆでるための第一歩は蟹選びから。
蟹は活きているものか、活け〆してすぐの物を使いましょう。
また脚の外れていない、いわゆる「成体」の蟹を選びます。
脚が外れているものをゆでると身の旨味や風味が抜けやすくなります。その時は蒸し蟹や焼き蟹にするといいですね。また成体であってもゆでてる途中で脚が外れないようにしないといけません。
一番簡単で一番確実な塩ゆでの仕方
- 蟹がすっぽり入る大きさの鍋に、3.5~4%(水1ℓに対し塩35~40g)の塩水を入れて火にかけておく。
- たわしなどを使って蟹を真水で洗う。活きている蟹の場合は氷水に10分ほど入れて弱らせる。
- 塩水が沸騰したら甲羅を下にして蟹を入れる。
- 再び沸騰してから落し蓋をし15分を目安にゆがく。
- ザルにあけ甲羅を下にして濡れふきんをかぶせて冷ます。
蟹をゆがくときは水からって教えてもらったんですけど・・・間違ってるんですか?
間違ってないと思います!僕も自分でゆがくときは水からゆがいてます。
先ほど「一番簡単なゆがき方」として「湯から」と紹介しました。
それは水からゆがくのは、ゆで時間の調整が少しだけ難しいからです。
ゆで時間は「湯が沸いてから」計ります。
水からゆがくと当然沸くまで時間がかかりますし、今か今かと鍋の前で見張っておかないといけません。(他の作業しながらだと問題ないですね)
また沸く前からじわりじわりと火が通っているので、湯からゆがくときより若干ゆで時間を短くします。(蟹も大きさにもよりますが13~14分を目安)
ちょっと経験と勘によるところもあるんやね。それやったら湯からゆがく方が絶対ええやん!
それがそうとも言い切れない!
車海老とかもそうやけど、水からゆっくり火を通していった方が身に甘味が出るねんで~
これは蟹を冷ますときにも同じこと。
氷水などで急冷すると身は引き締ましまりますが、ゆっくり冷ましたものより甘味が落ちると言われています。
湯から・水から、氷に落とす・ゆっくり冷ますなど、それぞれの方法にそれぞれの長所短所があります。
それを理解して「ゆであがりをどのように仕上げたいのか」をイメージしておけば、どの方法も間違いとは言えないですね。
色んな方法を試してみて、自分に合ったゆがき方を見つけるといいですね!
これは便利!すでにゆがいてある「ボイル花咲ガニ」
市場には活けの花咲ガニと同時に、現地ですでにボイルしてある物も入荷してきます。
魚屋さんなんかはこっちを選ぶ人が多いね。そのままパックして売れるから便利なんやって。なかなか評判もええんよ。
だそうですが・・・割ってみると
水っぽ!!!
スッカスカ!!
全部が全部ではないと思いますが・・・これすでに死んでるやつや、弱ってて「活け」では出荷できないものをゆがいてるのでは?ということで僕はボイル花咲ガニは買いません。
魚屋さんで買う時は、店でゆがいた物なのか?すでにゆがいてあったものなのか?を確認してから買うのが◎です。