中央卸売市場は一般の方には近寄りがたい雰囲気なのではないでしょうか?
飲食店の方でも「初めて」行くときはワクワクと不安が入り混じったような感覚になるかも。
少しでも不安をやわらげ、楽しく仕入れに参加できるよう「中央卸売市場」の現状を少しずつご紹介していきます。
中央卸売市場の仕組み
市場には「荷受け」と呼ばれる卸売業者がいます。
魚を集める方法は2つ。
荷受け(売り手)は集めた魚を仲卸業者・仲買(買い手)に卸売り。
売り手が買い手に卸売りする時、取引価格や数量を決めるのが①「相対」や②「せり」という方法。
買い手(仲買)は買った商品をそれぞれの店舗で買い出し人に売る
商品はおおよそのカテゴリーごとに売られています。
こんな個性的な売り場がいっぱいあるので、見てるだけでも楽しいですよ♪
触れる時間は短時間・むやみやたらに触らない・ばらばらにしない等。
市場にならんでいるものは全て「商品」です。
取り扱いはくれぐれも丁寧にしましょう。
魚の悩みは仲買さんに聞こう!
慣れてくれば価格だけではなく、品揃えとかの相談にも乗ってもらえるようになります。
部門担当者と交渉して買い物しましょう!
買い物となると、やっぱり一番気になる「値段」の話。
市場の商品に値札なんてありません。
なにがなんぼかは全て口頭でのやり取り。
ポイントは
- 「これなんぼ?」で教えてくれた値段は、kg単価なのか?1尾or1個なのか?箱代なのか?
- 箱ごと買わないといけないのか?ばらしてもらえるのか?
kg単価は1kg当たりの値段。
実際計量した目方に単価をかけたものが値段となります。
箱の横に11.0と書かれたブリを1500円で買ったら(11×1500=)16500円。
箱代は文字通り一箱いくらか。
尾・個数単価は、やり取りの間ではあまり使われることはありません。
本当にざっくり言うと、イワシや小あじ・一般鮮魚などは箱代、一般鮮魚の一部や活魚、貝類はkg単価が多い。しかし「これ!」といった決まったルール・決まりが無いです。
なので一例を出しながらみていきましょう
結論から言うと、魚も貝も大体の相場は頭に入れておいた方が混乱しなくなります。
魚ごとに個別で把握できなくても、
めっちゃ安い魚でkg単価500~1000。
一般的な魚でkg単価1500~2500。
金目鯛などの高級魚でkg単価2500~3500。
キンキ・のどぐろなどの超高級魚はkg単価6000にもなることもあります。
これから大きく外れる場合にkg単価ではなく、箱代などの場合を考慮すればいいです。
例:活け物がずらりと並ぶ台の魚のケース
今見えているのは全て「活魚」
この中で手前にある鯛の値段を聞いたとします。
この鯛なんぼ?
1800円やで!
活魚はほとんどがkg単価でやり取りされます。
尾単価で値段を言われることはほとんどありません。
とくにこういう「台の上」の魚はほぼkg単価です。
なので700gの鯛だとすると0.7×1800で1尾は1260円。
1.5kgだと1.5×1800で1尾2700円ということになります。
「○○尾欲しいです」と伝える、あるいは目利きして選んでどの魚を買うのか決めましょう。
買いの決まった魚は計量してもらい、その目方で正確な値段が出ます。
「台の上」の魚は1尾からでも売っていることが多いので、個人で買うには買いやすいスタイルといえます。
例:箱に入った活け物
箱に6尾入って横には「6入り3.2kg」と書かれています。
このイサキなんぼ?
4800円やで!
同じく活魚は尾単価でのやりとりほとんどなく、kg単価でやり取りされます
いさきの相場はkgあたり1300~2000円くらい。
なのでこの場合は箱代。
つまり、ひと箱4800円という意味でしょう。
(4800÷3.2kg=kg単価1500円で相場の範囲にピッタリ)
この場合気になるのは「一尾からでも売ってもらえるのか?」ということ。
「6入り」の箱に6尾入っている、つまり仲買さんが買ってきたときのまま。
この状態を「ナリ」といいます。
できるだけ「ナリ」で売りたいというのが仲買さんの本音。
しかし、その日の魚の量や、売れ行きの具合などで「ばらして」売ってもらえるときもあります。
「2尾だけでもいいですか?」と聞いてみるのがいいでしょう。
ただし「ばらして」売ってもらった時は、先ほど聞いた値段より高くなることもあります。
先に聞いた値段は3.2kgで4800円=kgあたり1500円。
ですが
ばらすんやったらk1700でもええ?
とかいうやり取りになるでしょう。
また「6入り」の箱に4尾しか入っていない等は、すでに「ばらした」後。
それなら「ばらして」売ってもらえる可能性は極めて高い。
ですがこの時注意するのは、先に誰かが良いものを選んで買っているかもしれない、ということ。
残された魚の状態は必ず確認しましょう。
逆に先に買った人に高値を付けているなら、残ったものは安く買えるかもしれませんね。
こういう物は「代金○○円でいって!」=残り全部でなんぼという売られ方をすることもあります。
売り切りたい時など、格安の値段提示がされることもあります。
例:箱に入った一般物の魚
一般物には、それぞれの産地で発泡スチロールの箱に立てられた物。
トロ箱(木箱)でてんこ盛りで到着したものを、中央市場到着後に立て替えたものなどがあります。
※「立てる」とは「並べる」という意味。
一般物は箱のまま並べられることがほとんど。
活魚よりもkg単価と箱代が入り混じってやり取りされます。
箱代とkg単価を取り違えると大変なことになるので注意!
不安がある時は迷わず「kgですか?箱代ですか?」と確認しましょう。
景気が良かった時代はほぼ「ナリ(箱ごと)」でのやり取り。
最近になってkg単価でのやり取りで、「ばらして」売ってもらえることが多いです。
とは言え、ほとんどの商品は「ナリ」で売ることを前提にされています。
買い方や値段については先ほどの「活け物のいさき」と同様の考え方。
最近は初めから「ばらす」ことを前提にしている仲買さんもいます。
が、その場合は少し高めのkg単価で売ってかもしれないことを頭に入れておくべきでしょう。
立て方の豆知識
画像の金目鯛のように、背を上に立てることを「背立て」と言い、ほとんどの魚がこれ。
腹を上にしたものを「腹立て」太刀魚のように特殊な魚に使われます。
小さい魚は「バラ立て」
氷の入れ方ひとつとっても下氷・下氷でシートを引いた物・氷海水にどぶ漬け。
などなどこだわりが色々あるものなのです。
ちなみに「活魚」には基本的に氷はあてません。
冷やしすぎるのは「しまり」の原因なのでご法度。
夏場はパーチ(ビニールシート)をかけて薄氷を当て適度に冷やします。
例:貝類
貝はほとんどがkg単価。
カキなど1個単価でやり取りされるものも多いです。
あさりなどは○kg・さざえなどは○個というように、ほとんどがばらして注文できるでしょう。
ただし、ばらしてもらった場合はどうしても貝の中に入った海水の重さも
加わってしまいます。これがなかなか馬鹿にできません。
例えば5㎏で20個入りのさざえを18個だけ買ったのに、「量ってみると5.2㎏!」なんてこともよくある話です。
1個単価の物は、箱ごと買った方が安くしてもらえることが多いです。
しかしロスになっては元も子もありませんので、売れる量を仕入れるのが基本。
おすすめの仕方を工夫する、特売で宣伝するなど。
売れる量を増やし、箱ごと買う方が断然お得です!
市場での数字の聞き方
これなんぼですか?
に、今ではほとんど「1800円やで」とか「いっぱち」など素人でもわかる言い回しで返ってくることがほとんど。
1500円なら「いちごー」1300円なら「いちさん」という感じです。
ちょっと初めは戸惑うとすれば、「いっぱち」が180円なのか?1800円なのか?18000円なのか?
ということくらいでしょうか?
これもある程度の相場と、箱代・kg単価の判断が付けば感覚で分かるようになります。
もはや死語!?市場の符丁を使いこなすとカッコいい!
数字に関して一番厄介なのは「符丁」ではないでしょうか?
「符丁」というのは、いわば数字の代わりに使われる市場の業界用語。
数字の聞き間違いを防ぐため、符丁が使われてたんです。
でも今ではある一部の符丁を除いてはほとんど聞かなくなった感がありますね。
全てを覚える必要はありませんが少し頭に入れておくと役に立つかも!
まずは一覧をご覧ください ※赤文字は比較的よく耳にします
「符丁」は関東・関西だけでなく、市場・仲買ごとでも使われているものが違うことがあります。
ここで紹介した以外にもたくさんの「符丁」がありますが、大阪北部では上記でだいたい通じます。
上記のうち「さりとわおもしろい」は実際の数字のように使われます。
18なら「さろ」125なら「さりお」という感じです。
飛び込みでも大丈夫!買い物も非常にやりやすい
「お前になんか魚を売ってやらんわ!」
なのでまずは気軽に来てみてください!
雰囲気を楽しむだけでも価値がありますよ!
ひとりでは不安!という方はいっしょに魚を見ることもできます
一人で市場に行くのは不安!という方
僕といっしょに大阪北部中央市場(茨木市)で魚を見て回りませんか?
実際の目利き仕事を見ながら、中央市場の仲買さんとの仲介も可能です。
月・火・金曜日のam6:00頃なら一緒に見学できます。
ご希望の方は下記フォームより前日までにご連絡ください!
「お問い合わせの種類」で市場見学希望を選択ください。
若い方も気軽に見学に来てくれています!